草津町捏造告発事件(時系列はこちら)の一連の事件の中で、捏造告発者が訴えられた民事訴訟の判決を入手したので、公開する。
結論
黒岩町長に対する名誉毀損の損害賠償は、以下の通り認められた。
- 新井祥子 275万円
- 飯塚玲児(告発本著者) 110万円
- 中澤康治議員 請求棄却
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「現場」の録音が存在し、性犯罪告発が捏造であることは明らかなので、問題となるのは損害額である。弁護士費用が10%加算されるので、それを除くと、新井250万円、飯塚100万円、中澤議員0円という結論となっている。
新井の250万円は、まず相場通りというところだろう(個人的にはちょっと安いのではとは思うが。)。
飯塚の行為は、町長の性犯罪という重大な事実を著書で発表したのだから、100万円はいくらなんでも安過ぎると思う。確かに、出版後の継続的な名誉毀損行為には、飯塚はあまり関わっていないようだが、だからといって、最初の出版行為を軽視べきではない。
なお、新井は「性交渉は嘘だったが、触られたのは事実」と主張しているし、飯塚は、訴権濫用だとか、虚偽だと分からなかったのは仕方ないとか主張しているが、当然のことながら、一蹴されている。
意外だったのは、中澤議員に対する請求が棄却されたことだ。これは、原告の主張が、町議会での議案読み上げ行為のみだったことに由来する。実際には、その後も、中澤議員は議会外で再三にわたって名誉毀損行為を実行している(たとえばこちらの記者会見)。これらの行為の多くは訴訟提起後になされているから主張から漏れたと推測されるが、原告が主張立証していれば、当然、名誉毀損は認められただろう。
※アイキャッチ画像の写真は、2019.11.30「新・情報7daysニュースキャスター」(TBS)から、新井祥子議員(当時)が虚偽の「告発」をする場面を引用した。
田辺総合法律事務所パートナー弁護士。第一東京弁護士会所属(修習58期)。
第一東京弁護士会 総合法律研究所IT法研究部会所属(元部会長)、国立国際医療研究センター臨床倫理委員会委員、日弁連刑事弁護センター幹事(刑事手続IT化PT)等。
デジタル証拠や医事法・医療情報についての著作が多い。
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